魚探して覗き水

　私はフライも嗜む身ではありますが
　実のところドライフライ（水面に浮くフライ）はほとんど作っていません
　というかまともに作れていませんと言うのが正解ですかね？
　まぁ興味が持てないと言うのが正直な気持ちです
　では何を？といいますと
　ハーズイヤニンフやＭＳＣ、ピューパやイマージャが中心でしょうか
　しかしこれらはどうもフライ初心者用のレッテルが貼られている気がします

　曰く「ドライこそフライの真髄である」と…
　確かにフライフィッシングを歴史の観点から紐解けば
　いかに私といえどその言葉に違和感は覚えません
　また確かに私はフライ初心者で
　それでも私が作ったニンフフライにマスが食い付いてくれるのも事実だし
　さらに安価で少ないマテリアルでも充分結果が出るパターンを作れるし
　プールや瀬など打ち込むポイントもさほど選ばず使うことができる
　とあっては「ニンフ系フライが初心者におすすめ」と
　一般的に言われるのも仕方のないことだろうと思います

　でも、でもですよ
　私的なイメージで恐縮ですが
　百人いれば百通りの感じ方があることも至極当然なんですが
　ナチュラルドリフト等ドライウェット問わずに必須なテクニックはさておき
　一概には言えずともドライフライ≒魚が食い付けばコチラの勝ち
　つまり魚が針に掛かる瞬間がどうしてもバッチリ見えてしまう事
　世にはこれこそエキサイティングだ！と仰る方も多くおりますが
　私の場合これがどうにもつまらなく思えてしまうのです
　つまり「釣り味はニンフやウェットのほうがある」と考えている訳です

　これはきっと私の釣りの原点が
　真鮒（金銀）や小鯉をヘラ浮木と小麦粉練りで仕留める浮木釣り
　であったことに起因するのでしょうか？
　場所は近所の濁った沼で当然水中の情報は全くの皆無
　そこから浮木と板おもりだけで水中の地形やオダ（枯れ木）を把握し
　餌と浮木の感度だけで魚の集まり具合を把握し
　浮木がモゾモゾと動く中から一瞬のツンを見切り魚の口に針を掛ける
　魚がどのように動いていたのか？
　水中で餌がどのようになっていたのか？
　地形の状況は？タナとり（水深調整）は出来ていたか？
　経験によりイメージは徐々に鮮明になり
　しまいには空ツン（ハズレアタリ）とツン（喰いアタリ）を調子次第とはいえ
　見分けるほどまでになろうとも
　水中の様子はあくまでも想像の世界です
　そのほんの竿先一間も離れていない未知の世界
　竿より伸びる細い糸一本で結ばれた相容れない世界
　小さなヘラ浮木の下に拡がる空想の世界
　そこから突如現れる一瞬の信号を見事にキャッチし身体が反射出来た時のみ
　現実と空想が糸鳴りとともに交錯し歓喜と興奮が体内を駆け回ります
　子供ながらになんて高尚な趣味を…と自画自賛するのも程々に
　…イヤまぁワラシの頃にゃ、んなこたぁカケラも考えねで
　ただ楽しいから遊んでただけだどもな…云々はさておき
　他愛もない遊びについて屁理屈がここまで捻り出せるようになろうとは
　我ながら随分スレッからしな大人になったものですアハハ

　さてさてかなりの脱線を強引に戻しますが
　つまりはフライでも沈んで見えなくなるくらいが
　私にとって一番面白く感じるシチュエーションであり
　さすがにヘラ浮木の繊細さとまではまいりませんが
　フローティングのリーダーがその代役を努めてくれて
　ややクセのついたリーダーラインから読み取る様々な情報は
　やはり私の琴線を掻き鳴らしてくれます

　またルアーでも同じようにスプーンでの釣りを好み
　アタリとして出るラインのブレをやっきになって追求していることを鑑みると
「三つ子の魂百まで」なんていう諺にウンウンと頷かざるをえませんね

…これはあくまで私個人の嗜好です
　この釣り方を万人に強要するものではありません
　各々が自分の理想の釣りに辿り着く事
　それこそが大事なことであろうと私は考えます…